2020.11.27 税制調査会の審議内容。その3
2020.11.27 | カテゴリ:相続応援日記, 相続関連情報
12月中旬に発表予定の令和3年度税制改正大綱にむけ、政府税制調査会で議論されている「資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築等」という論点についてみてみましょう。
昨年の税制調査会では、「資産課税の有する再分配機能は引き続き重要である。(中略)資産課税が適切な再分配機能を果たしていくべく、そのあり方を不断に検討していく必要がある。」とし、特に贈与税について何らかの税制改正が必要であると示唆しています。
背景の一つには、被相続人の高齢化によりいわゆる「老老相続」が増加し、相続による若年世代への資産移転が進みにくい状況が生じていることがあるようです。
諸外国の贈与・相続税の制度を見てみると、アメリカでは贈与税と遺産税(日本の相続税に相当するもの)は統合されています。
よって、一生涯の生前贈与と相続での税負担は一定となり、これを税制調査会では「資産移転の時期の選択に中立」と表現しています。
そうなると、今後の日本の税制改正の方向性は、いかに生前贈与対策をしようとも、最終的には相続税で精算されて、トータルでの税負担が変わらない、ということを想定しているようにもみてとれます。
昨年の税制調査会でも「我が国においても、こうした諸外国の例を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直し、格差の固定化を防止しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な税制を構築する方向で、検討を進める必要がある。」としています。
従来の暦年贈与制度における相続開始前3年以内贈与の相続税加算の範囲拡大、あるいは、相続時精算課税制度を中心とした制度移行を検討することとなるのでしょうか。
今後の議論の行方と12月発表予定の税制改正大綱が気になるところです。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 三澤郁夫 4459
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)