2020.4.13 非居住者金融口座情報の報告制度 その3
非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の続きです。
国税庁は「国際戦略トータルプラン」を発表し、富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠しや国際的な租税回避行為の監視を強化しています。
非居住者金融口座情報の自動的交換のための報告制度もその取り組みのひとつで、この制度により海外から受領した情報は、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他既に国税庁が保有している様々な情報と併せて分析されることになります。
従来から、法定調書により把握した非居住者への支払等についての情報を支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付する自動的情報交換制度は設けられていました。
この度の金融機関の口座情報の提供は 金融機関にとっては非居住者の居住国の特定等を行い報告する義務を負うのですから大きな負担になりますが、海外にある金融資産及びそこから生じる所得を把握することができ、取締り強化が期待されています。
<非居住者金融口座情報(CRS情報)の自動的交換制度の活用例>
被相続人Aの相続税申告において海外資産の計上はなかったものの、受領したCRS情報から、X国の預金について相続税の申告漏れが想定されたため、調査に着手した。調査過程で当該預金が相続財産である事実、さらにAが生前にX国において不動産を保有していた事実を把握し、それぞれの資産について相続税の申告漏れがあったことが判明した。
2020年(令和2年)度の税制改正では、この金融口座情報の自動的交換のための報告制度をOECDの共通報告基準により忠実に従ったものとするとともに、金融機関等の負担を軽減する観点から、報告制度の対象となる者の範囲やその居住地国の特定方法等について見直しを行っています。
出典:国税庁 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(FAQ)
国税庁 平成30事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 市川園美 4306
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)