2020.4.10 非居住者金融口座情報の報告制度 その2
非居住者金融口座情報の自動的交換のための報告制度の続きです。今回は導入の経緯についてです。
2008年の米国におけるスイス大手銀行の銀行員による脱税ほう助事件等を受けて、米国では、2010年、外国の金融機関の口座を利用した脱税を防止する「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA: Foreign Account Tax Compliance Act)」が成立しました。
米国外の金融機関に対し、米国納税義務者の口座情報を米国内国歳入庁(IRS)に報告することを求めるものです。
このFATCAへの対応について2012年に欧州5か国が米国と合意したことを契機として、OECDは、税務当局間で非居住者の口座情報を提供し合う自動的情報交換に関する国際基準の策定に着手しました。
こうして「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」が策定され、現在では、100を超える国・地域が、この共通報告基準に従った自動的情報交換を開始することを表明しています。
このような経緯を経て、各国は共通報告基準(CRS)に従った自動的情報交換を実施するための国内法制を整備することとなりました。
わが国においては、2015年度税制改正により、「租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律」が整備されました。2017年分から金融機関の口座情報報告が始まり、各国の税務当局間で自動的情報交換が行われています。
実施状況は2019年11月末時点で、以下のようになっています。
提供(日本の非居住者に係る金融口座情報):約47万件 64か国・地域
受領(日本の居住者に係る金融口座情報) :約189万件 85か国・地域
なお、各国税務当局間の情報の授受は、OECDが開発した共通送受信システム(CTS:Common Transmission System)を通じて行われ、高度な安全性が担保されています。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 市川園美 4305
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)