2019.5.28 遺言のおさらい(自筆証書遺言の押印)-その8
2019.5.28 | カテゴリ:相続応援日記, 相続関連情報
自筆証書遺言には、民法968条1項に、遺言者の署名・押印を要件とすることが規定されています。
今回は、署名・押印を遺言書の同一個所になすべきかを判断した、昭和の判例についてお話したいと思います。
戦後間もなくの地裁の判決ですが、以下のような事例で遺言書の効力を有効と判断したものがあります。
本事例で問題となった遺言書は、遺言内容を記載した書面に遺言者の署名はなされていたものの、署名の下に押印がなされていませんでした。
しかし、この書面が封入されていた封筒には、裏面に署名・押印があり、封筒の封じ目にも押印がされていました。
このため、「右封筒は正に其の内容物である前記書面と一体を為すものであると認むべきであり、…前記遺言書の一部である」との判断がなされました。
また、封筒裏面に遺言者の署名・押印があることについて、「捺印とは遺言者の署名に付て為されなければならないと解すべきであるが…右捺印の位置が前記当事者間の争のない遺言者の氏名末尾の文字に接着して居る状況に徴すれば」署名に対する押印と認められ、適式な押印であると判断されました。
平成に入り、より踏み込んだ解釈をした判例が現れますが、この判例については次回にお話ししたいと思います。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 八杉 努 4092
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)