2019.4.12 遺言のおさらい(自筆証書遺言の押印)-その3
2019.4.12 | カテゴリ:相続応援日記, 相続関連情報
民法968条1項は、自筆証書遺言に遺言者が押印することを要求しており、押印を欠いた遺言は無効とされます。
しかし、押印を欠いた遺言が有効とされた、極めて特殊な判例が存在します。
本件の遺言者は、遺言書作成の約1年9か月前に日本に帰化した白系ロシア人の女性でした。
この方は18歳のときに来日し、約40年間日本に居住していたものの、主としてロシア語又は英語を使用し、日本語はかたことでしか話すことができませんでした。
また、少数の日本人を除いてヨーロッパ人としか付き合いがなく、ヨーロッパの様式に従った日常生活を送っていました。
印鑑を所有はしていたものの、官庁に提出する書類など、相手方から押印を要求されるとき以外は印鑑を使用することはありませんでした。
このように、遺言者が欧米人の一般常識のもとで生活をしており、押印という日本の慣行に馴染んでいなかったという特殊事情が考慮され、例外的に遺言が有効とされました。
外国の方というだけでなく、その生活、交友関係等も考慮した上での判断であるため、決して一般化できない例外的な判例であるといえます。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 八杉 努 4066
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)