2019.7.25 遺言のおさらい(自筆証書遺言の内容を訂正・変更する場合)-その4
2019.7.25 | カテゴリ:相続応援日記, 相続関連情報
民法968条3項は、自筆証書遺言の内容を訂正・変更する方式として、
「遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」
と定め、訂正・変更にあたり、遺言者の「署名」及び「押印」を要求しています。
また、同条1項は、自筆証書遺言の作成時においても、遺言者の「署名」及び「押印」を要求しています。
では、遺言書作成時には戸籍上の氏名で署名し、訂正・変更時には通名で署名した場合や、異なる印鑑を使用した場合には、訂正・変更は有効と扱われるのでしょうか。
この点については、学説上の議論とはなりますが、異なる「署名」及び「押印」であっても、どちらも遺言者本人のものと確認できる場合には有効と解する説が有力のようです。
学説の根拠としては、訂正・変更に「署名」及び「押印」が要求される趣旨は他人による遺言の改ざんを防止することにあるため、本人であることが確認されれば趣旨を損なうことはないこと、遺言の作成から訂正・変更まで長期間空いてしまった場合、印鑑をその間に紛失してしまうおそれがあることが挙げられます。
判例も、訂正・変更の方式の要件を充たしていない場合について、柔軟に判断する傾向にあることからすれば、有効と解する説は妥当と思われます。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 八杉 努 4133
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)