2019.3.20 遺言のおさらい(自筆証書遺言に記載する氏名)-その2
2019.3.20 | カテゴリ:相続応援日記, 相続関連情報
今回は、自筆証書遺言に記載する氏名の内容面について、お話ししたいと思います。
自筆証書遺言に記載する氏名は、必ずしも戸籍上の氏名と同一である必要はありません。
遺言者が日常用いている通称や、ペンネーム等を氏名として記載した場合でも、遺言が有効とされた、以下のような判例があります。
大阪高裁の判例ですが、遺言者の本来の名「道雄」ではなく、生前用いたことのある「通雄」という通称が記載された遺言について、
「亡道雄が生前自己の名前の表示として『通雄』を用いたこともあったこと並びに本件土地を控訴人に相続させるという本件遺言の内容を併せ考えるときは、右『甲野通雄』の表示は遺言者たる亡道雄の氏名の表示として十分であるというべく、…自筆証書遺言の氏名…の記載として有効であり、本件遺言書は、その要式性に欠けることはないというべきである。」
との判断がなされました。
自筆証書遺言に氏名を記載することが必要とされる法の趣旨は、遺言者が誰なのかを明らかにした上で、遺言の内容が本人の真意であることを明確にすることにあります。
上記判例は、記載された氏名という形式面だけでなく、遺言内容という実質面も考慮事由に含めた上で、本件遺言が法の趣旨に反しないと判断したものといえます。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 八杉 努 4050
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)