2015.1.28 理由附記の不備で相続税の課税処分取り消し。その3
2015.1.28 | カテゴリ:相続応援日記, 相続関連情報
理由附記という論点があります。
今回の税制改正後、初めて相続税において理由附記の適否が争われた事例が国税不服審判所平成26年11月18日裁決です。
国税不服審判所は、更正通知書に記載された債務控除に関する処分の理由には不備があり、行政手続法14条1項に規定する要件を満たさない違法な処分であるといわざるを得ないから、取り消すべきであると判断しました。
今回の更正通知書の処分の理由には、被相続人が負っていた合資会社の債務は、相続税法13条に規定する被相続人の債務には該当しないということが記載されていました。
しかし、なぜその債務が、控除できないのかの理由を明らかにするものではありませんでした。
一般に、更正の理由としては(イ)更正の原因となる事実、(ロ)それへの法の適用、(ハ)結論の記載が必要と考えられています。
今回は、(イ)債務弁済責任を相続財産の価額から控除しているという事実、(ロ)相続税法13条に規定する『被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの』に該当しないという根拠条文の記載はありましたが、(ハ)なぜ債務弁済責任に基づく債務が現に存しないと判断したのかの理由が明らかとされていなかったのです。
したがって、相続税においても要求される附記の内容は、どのような事実関係に基づいて、どのような法規を適用し、なぜ課税処分がなされたのかを、納税者がその記載からわかるように記載がなければなりません。
税務署にとっては少し厳しい指針が示された事例といえますが、改正後は国税通則法の改正の趣旨に見合った納税者にとってわかりやすい詳細な理由の附記が求められます。
記:資産家を応援する相続の専門家:税理士法人レガシィ 風岡範哉。3040
(幸せなキャッシュフロープロジェクト)(もめない・もめさせない遺産相続プロジェクト)